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「持論」 … 『石川保険医新聞』第443号主張欄 (2009年3月号)

 憲法25条において、すべての国民に生存権(健康権)が保障されるとともに、国には社会福祉、社会保障の向上及び増進に努める義務を課している。
 1950年、戦後復興期の日本でなされた社会保障制度審議会勧告は、社会保障に対する国家責任が高らかにうたわれ、その後の国民皆年金・国民皆保険、老人医療無料化へとつながった。
 しかし、オイルショック後の経済安定期には制度の見直しがなされ、1990年以降は、制度の再構築へと続いた。現在なお経済環境が急変する中、少子高齢化を軸とする社会環境の変化にあって、社会保障の基軸に何をすえるべきであろうか。
 一つに、社会保障が所得の再分配に資することは重要である。競争原理の導入に伴い格差が問題となっている今こそ、垂直的再分配を意識した制度運営を行い、格差是正を図ることを考慮すべきである。

医療者の使命は    健康権のにない手

 また、高齢者医療において介護との関係は切り離せないが介護保険制度は中流家庭が維持されることを前提とした水平的再分配の制度であり、貧困者にとっては不利な制度となっている。社会保険においても、低所得者に対する一層の負担軽減や国庫負担の大幅増により、間接的にではあるが、垂直的再分配機能を強化すべきである。
 また一つに、自立の概念が不当に使用されていることへの是正である。例えば介護費抑制のために新たに導入された介護予防制度は、当初は自立を促すためにという美辞の下に導入されたのであるが、自立を押しつけられ、介護利用を頼みにした要介護者の人権を侵害した例である。本来の自立とは、自己決定権を十分に保障したものでなくてはならない。
 われわれ医療者は、保険医として国から国民の健康管理を委託され、求められれば否応なく生老病死に立ち会う。職務として社会保障の現物給付をリアルに自ら行い、各人の健康権(人権)のにない手となるべき使命を負う。つまり、医療者は社会保障の充実・擁護に対して、常に前向きであることが求められている。
<石川保険医新聞 第443号より転載>


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