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「持論」 … 『石川保険医新聞』第446号主張欄 (2009年6月号)

 この4月には、介護保険制度の改定があり、数字上は介護報酬が3%引き上げられたことになっている。しかしながら、実際の現場では利用者側も介護側も、その恩恵に浴しているとは到底言えない状況である。今次改定は、多くの問題点があるが、その中のいくつかを考えてみたい。
 まず、利用者にとっては、介護サービスの単価が上がれば負担は増えるのであるが、これは3%どころではない。支給限度額の方は上がらないのであるから、限度いっぱいに介護サービスを利用している場合は、従来と同じサービスを受けようとすれば、限度額を超えた部分は十割負担となり、大きな経済的負担となる。それに耐えられなければ介護サービスを減らす以外になく、その分の介護負担は多くの場合、家族に重くのしかかることになる。
 また、介護認定においても要介護度が、従来よりも軽く出ることが懸念されている。これには特例措置で、今までと同じサービスが受けられるようになっているが、泥縄の感は否めない。

利用者、事業所、介護職員、 それぞれを苦しめる介護保険
介護報酬の大幅引き上げを

 一方、介護事業所にとっても経営はどこも厳しい状態であり、この程度の介護報酬の引き上げでは、とても介護職員の待遇改善に役立つものにはなるまい。
 本来、介護という仕事は、専門的な知識も経験も必要な専門職のはずである。そして介護の現場は、「誇りを持って」働ける職場のはずである。にもかかわらず、労働強度、労働時間に見合わない低賃金に甘んじることを余儀なくされ、技術・能力の向上に伴う昇給もままならないとするならば、多くの優秀な人材たちが介護現場から離れて行ってしまうことは、想像に難くない。もちろんこれは利用者にとって、また、社会全体にとって大変不幸なことである。
 まず、今次改定の影響を速やかに検証し、介護報酬の大幅な引き上げを含めた抜本的改革が不可欠である。厚労省もマスコミ報道も、この4月末からは新型インフルエンザ一辺倒の感がある。もちろんこの問題を軽んずることはできないが、これに傾倒するあまり、医療崩壊、消えた年金問題、そしてこの介護の問題と、山積する諸問題をないがしろにすることもまた、許されないのである。

<石川保険医新聞 第446号より転載>


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