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【新型インフルエンザ対策に関する要請書】


内閣総理大臣 麻生太郎 殿
厚生労働大臣 舛添要一 殿
新型インフルエンザ対策に関する要請書
 WHOは4月29日、北米を中心に広がっている新型インフルエンザに対し、警戒レベルを「フェーズ5」(プレパンデミック)と宣言した。しかし、その後も発生国、患者数は増加の一途を辿っており、実情はパンデミック状態というしかない。

 日本でも新型インフルエンザ対策本部の設置と共に、「基本的対処方針」が作成され、いわゆる水際作戦が実行されてきた。こうした中、5月16日神戸において、渡航歴のない高校生に相次いで同インフルエンザが確認され、行動計画は第2段階(国内発生早期)という新たな局面を迎えている。結果として、対策の限界と想定の甘さを露呈したものと言わざるをえない。

 現在国は、末端医療機関に対して、「単に発熱のみによる診療拒否は医師法違反」と述べる一方、「新型インフルエンザの発生した医療機関は1週間の外来閉鎖」を指示している。こうした現実を無視した指示は医療現場の混乱を招き、かえって感染の機会を拡大するものと危惧する。

 一方で、新型インフルエンザに対する国民の理解は未だ十分ではない。感染者や疑い者に対する偏見、疾患に対する過度の恐怖心などが蔓延している。国にもマスコミにも、こうした事態を招いた情報発信にあり方について、反省と改善を求めたい。

 以上より、地域の医療を守る開業保険医団体であるわれわれは以下の点を政府に要請する。


一、 既に新型インフルエンザは国内に集団発生しているものと考え、その前提で感染患者の治療を担う専門病院と診療所との役割分担を明確なものとすること。

二、 今後も患者数の拡大は免れないところであり、今後患者に遭遇する第一線の診療所の増加は不可避である。診療所に対する物理的・経済的援助を検討すること。特に閉院を指示されることは診療所にとって死活問題である。

三、 感染者及び感染者を診察した診療所への偏見や風評被害が発生しないよう情報発信のあり方に留意すること。特に感染者は、意志とは無関係に突然長期の隔離に曝される。社会防衛上やむを得ないという判断なのだろうが、ハンセン病での誤った隔離政策を引き合いに出すまでもなく、医学的妥当性に基づき、憲法が保障した個人の人権を最大限に尊重して処遇されることを切に要望する。
以上
2009年5月17日
 全国保険医団体連合会第52回北信越ブロック会議
新潟県保険医会
富山県保険医協会
石川県保険医協会
福井県保険医協会
長野県保険医協会



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