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 [会長談話] 医療・介護総合法案の成立に強く抗議する
2014 年6 月19 日
石川県保険医協会
会長 西田直巳

 6月18 日、参議院本会議において、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が、可決・成立した。提案された19 本もの改正法案は、どれをとっても国民生活に重大な影響を及ぼすものであるが、審議に十分な時間を割くことなく、本会議前日の厚生労働委員会では全野党からの継続審議への強い要求があったにもかかわらず、与党により採決が強行されたものである。地域医療をになう医師・歯科医師として、本法案の可決について、強く抗議する。
 本法は、読む者にその全貌を明らかにすることを断念させるほど、広範囲にわたる改定内容である。医療提供体制改革、地域包括ケアシステムの構築による国家にとって安上がりな提供体制の構築、介護保険利用者負担増と予防給付(ホームヘルプサービスとデイサービス)を市町村事業へ移行することによる給付抑制をその中核的な内容としつつ、医療事故調査制度の法制化、特定看護師研修制度の導入、成長戦略の担い手としての臨床研究中核病院承認制度の導入など、その一つ一つが「重要法案」として国会において論戦が戦わされるべき内容である。とりわけ、医療機能の「上からの」強制的分化による病床削減と、在宅介護をインフォーマルなサービスに委ねる「地域包括ケア」は、患者・国民が人権として保障されている、必要な医療・必要な介護を受ける権利を奪うことにつながり、断じて容認できない。

 本法は、「社会保障・税一体改革」の理念を示した社会保障制度改革推進法、社会保障制度改革国民会議報告書、そして社会保障改革プログラム法に基づく、医療・介護分野における最初の具体的法改正である。今後、本法を具体化する省令・ガイドラインの策定や国保の都道府県単位化・医療保険の給付範囲縮小をめざす医療保険各法の改正などが予定されている。そこには、社会保障分野における国家責任を放棄し、社会保険を国民相互の助け合いの制度へと矮小化することを目指す、一体改革の基本理念が色濃く反映している。このまま社会保障給付が抑制されていくさまを、ただ見守るわけにはいかない。
 我々は、地域医療に責任をもつ保険医として、憲法25 条で国家に課せられた社会保障の「向上増進義務」を対置し、「国民のいのちと健康を守るのが国の仕事である」という「当たり前の」社会保障実現に向けて、全力を挙げる。そして、患者・国民と手を携えて粘り強く活動を続けていくことを、ここに表明するものである。



 
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