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<会長談話>
 消費税増税と社会保障削減を目指す「社会保障・税一体改革関連法案」の
 衆議院可決に抗議し、参議院での廃案を求める会長談話
 2012年6月26日、衆議院本会議において、消費税増税と社会保障給付削減を進める「社会保障制度改革推進法」など社会保障・税の一体改革関連8法案が可決された。社会保障の拡充を求める多くの国民の声に真っ向から背くとともに、政権交代時の選挙公約を踏みにじるものであり、人権としての医療保障・社会保障の拡充を求める医師・歯科医師の団体として断固として抗議する。

 そもそも、本国会で与党が上程した「一体改革」関連法案自体、保育、年金、医療、障害のある人の福祉、介護保険、生活保護など、社会保障制度の全領域にわたり給付の重点化と効率化をはかろうとするものであり、国の社会保障制度拡充の責任を否定し生存権保障としての社会保障制度の解体へと踏み出すものである。その上、本法案上程を決めた民自公の三党合意では、民主党選挙公約のうち実現が待ち望まれていた「最低保障年金の創設」と「後期高齢者医療制度の廃止」を実質的に白紙撤回するとした。医療保険分野では、「保険給付の対象となる療養の範囲の適正化」と明文化され、今後、保険がきく医療の範囲を縮小していく意図を明確にしている。さらに、税制改革においては、所得税・法人税には手を付けることなく、社会保障財源としては最もふさわしくない消費税増税のみが実施されることとなった。可決された法案は、消費税を増税した上で、なおかつ社会保障を切り捨てるものであり、許し難い内容である。

 社会保障制度改革推進法案の第2条第1号では、社会保障制度改革の基本的な考え方として、「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと」を掲げている。戦後70年を迎えようという今日において、国民の生活保障を家族と国民相互の助け合いに委ねるとする本法案は、日本の社会保障制度を戦前の「救貧法」の時代に逆戻りさせるものである。まさに歴史的暴挙である。憲法第25条第2項は、「すべての生活部面について」社会保障の向上・増進を国家の義務として規定している。本法案は明らかに憲法違反であり、断じて認めるわけにはいかない。

 地域医療をになう医師・歯科医師として、引き続き患者・国民の健康と生活を保障する社会保障制度の実現に向けて全力を挙げるとともに、本法案の廃案を目指して粘り強く活動していくことを、ここに表明するものである。
2012年6月27日
 石川県保険医協会
会長  西田 直巳



 
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