作・つまようじ/『石川保険医新聞』2019年7月号掲載

院長「忙しくて3日放置していただけなのにこのありさま…」
師長「なんですかこの書類は?」
院長「送られてきたFAXの束。これはなんとかせねば…」
師長「ペーパレスの時代ですからね!」
院長「でも紹介状、返書、予約券、やらまだまだメールにはならないな」
師長「10年前よりは減りましたけどまだまだ多いです」

 

 

院長「今使っているFAXには『印刷前に受信内容を見る』機能がついているんだ」
師長「それなんで使わないんですか?」
院長「実は最初は使ってたんだけど…最近…目が…」
師長「あー画面が小さいから、読めなくなってきた…と?」
院長「そうなんだよ!大事なものまで消去してしまうことが多々あってな」
師長「歳ですねぇ…」
院長「…(涙)」

 

 

師長「確かに液晶表示は字が見にくい…お年寄りにはきついかも…」
院長「やかましい!そこはほっとけ!」
師長「で、新しいのをまた買ったんですね!」
院長「ふふ…いろいろ調べた結果、良いものを見つけたぞ!」
師長「わかりました!パソコンに飛ばすやつでしょう?」
院長「そう。しかしその飛ばし方にヒト工夫ある機体が出てきたんだ!」
師長「Wi-Fi経由のパソコンへ転送ではないんですか?」

 

院長「違うんぢゃ!あれは設定がムズカシくうまくいかないのが多くて…」
師長「それであきらめてすぐ買い替えてましたよね」
院長「これからはクラウドだね!この機体は既存のクラウドに転送してくれるんだ!」
師長「へぇ、これは便利ですね!」
院長「メジャーなクラウドサービスならパソコン、タブレット、スマホ、どこにでも送れる!」
師長「院外でもいつでも見れて、印刷も受け取った場所でできますね!」

 

師長「どこででも見れるって便利ですね~しかも紙代かからないし」
院長「げげ…」
師長「どうしたんですか?」
院長「昨日、自宅でFAXをクラウド受信したんだけど…早とちりで消してしまった!」
師長「え!?」 
院長「クラウドは…受信した機器だけではなく、すべて消去されてしまう!」
師長「どこででも見れるけど…どこででも消せるんですね。便利なんかな…?」
院長「便利すぎ…なんやろ!!再送信…してもらおう…(涙)」

 

 

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