(1) 算定できる点数
①初診料「注2」214点
※本来は特定の病院で算定する点数だが、特例措置として対象外の医療機関でも算定できる。
※小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料届出医療機関で、小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料の対象患者に対し電話等を用いた初診を行った場合も初診料214点を算定できる。(2020年4月24日厚労省事務連絡)
② 処方料、処方箋料
(2) 初診からの電話・情報通信機器を用いた診療の実施について
医師が電話等を用いた診療により診断や処方が当該医師の責任の下で医学的に可能であると判断した範囲において、初診から診断や処方をして差し支えない。
診療の際、できる限り、過去のカルテ、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワーク(※)又は健康診断の結果等(以下「カルテ等」という)により当該患者の基礎疾患の情報を把握・確認した上で、診断や処方を行う。
(※)患者の同意を得た上で、医療機関間において、診療上必要な医療情報(患者の基本情報、処方データ、検査データ、画像データ等)を電子的に共有・閲覧できる仕組み
なお、当該医師が電話等を用いた診療により診断や処方を行うことが困難であると判断し、診断や処方を行わなかった場合において、対面での診療を促す又は他の診療可能な医療機関を紹介するといった対応を行った場合は、受診勧奨に該当するものであり、こうした対応を行うことは医師法第19条第1項に規定する応招義務に違反するものではない。
(3) 電話等を用いた初診に基づく処方について
ア 麻薬及び向精神薬の処方をしてはならない。
イ カルテ等により当該患者の基礎疾患の情報が把握できない場合は以下①~③の取扱いとなる。
① 処方日数は7日間を上限とする
② 麻薬及び向精神薬に加え、特に安全管理が必要な医薬品(いわゆる「ハイリスク薬」)として、薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤等)の処方をしてはならない。
③ 院外処方を行う場合は、処方箋の備考欄にカルテ等により患者の基礎疾患を把握できていない旨を明記する。
(4) 初診から電話等を用いた診療を実施する場合の留意点
① 実施に当たっての条件及び留意点
初診から電話を用いて診療を行う場合は、以下アからウまでに掲げる条件を満たした上で行う。
ア 初診から電話等を用いて診療を行うことが適していない症状や疾病等、生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、医師から患者に対して十分な情報を提供し、説明した上で、その説明内容についてカルテに記載する(※)。
(※)説明に当たっては、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月厚生労働省策定)Ⅴの1.(1)に定める説明や同意に関する内容を参照する。
イ 医師が地域における医療機関の連携の下で実効あるフォローアップを可能とするため、対面による診療が必要と判断される場合は、自院において速やかに対面による診療に移行する。それが困難な場合は、あらかじめ承諾を得た他の医療機関に速やかに紹介する。
ウ 窓口での被保険者の確認等の手続きが行われず、また、診療も問診と視診に限定されていることなどから、対面で診療を行う場合と比べて、患者の身元の確認や心身の状態に関する情報を得ることが困難であり、患者のなりすましの防止や虚偽の申告による処方を防止する観点から、以下の措置を講じる。
・ 視覚の情報を含む情報通信手段を用いて診療を行う場合は、患者については被保険者証により受給資格を、医師については顔写真付きの身分証明書により本人確認を、互いに行うこと。その際、医師にあっては医師の資格を有していることを証明することが望ましい。
・ 電話を用いて診療を行う場合は、当該患者の被保険者証の写しをFAXで医療機関に送付する、被保険者証を撮影した写真の電子データを電子メールに添付して医療機関に送付する等により、受給資格の確認を行う。
・ 電話を用いて診療を行う場合であって、上記に示す方法による本人確認が困難な患者についても、電話により氏名、生年月日、連絡先(電話番号、住所、勤務先等)に加え、保険者名、保険者番号、記号、番号等の被保険者証の券面記載事項を確認することで診療を行うこととしても差し支えない。
・ なお、被保険者証の確認に加えて患者の本人確認を行う場合には、「保険医療機関等において本人確認を実施する場合の方法について」(令和2年1月10日厚労省通知)等に留意して適切に対応されたい。
・ 虚偽の申告による処方が疑われる事例があった場合は、その旨を所在地の都道府県に報告する。報告を受けた都道府県は、管下の医療機関に注意喚起を図るなど、同様の事例の発生の防止に努める。
② その他
患者が保険医療機関に対して支払う一部負担金等の支払方法は、銀行振込、クレジットカード決済、 その他電子決済等の支払方法により実施して差し支えない。
(5) 電話等を用いて初診を行った患者の2度目以降の診療について
電話等を用いて初診を行った患者に対して、2度目以降の診療も電話等を用いて行う場合については、2 初診の取扱いの「(2) 初診からの電話・情報通信機器を用いた診療の実施について」と「(3) 電話等を用いた初診に基づく処方について」に沿って実施する。
なお、電話等による診療は、問診及び視診に限定されたものであることから、その際に作成したカルテは、「(2) 初診からの電話・情報通信機器を用いた診療の実施について」に記載した 「過去のカルテ」には該当しない。
また、感染が収束して本事務連絡が廃止された後に診療を継続する場合は、直接の対面診療を行う。
(6) 実施状況の報告について
上記「(2) 初診からの電話を用いた診療の実施について」及び「(5) 電話を用いて初診を行った患者の2度目以降の診療について」により、電話を用いた診療や受診勧奨を行う医療機関は、その実施状況について所在地の都道府県に毎月報告を行う。