石川県創造的復興推進課長に提言書を手渡す井上英夫・検討会議代表(右)

被災住民や医療・福祉・居住保障等の専門家、研究者等でつくる「『石川県創造復興プラン』検討会議」(代表 井上英夫・金沢大学名誉教授)は7月31日、石川県が策定した「石川県創造的復興プラン」に対して「提言」をまとめ、石川県に提出しました。

提言の賛同人には、石川県保険医協会の三宅靖会長、平田米里会長、齊藤典才理事が名を連ねており、石川県への提言書提出時(石川県庁会議室)には平田副会長が同席、また同日開催された記者発表会(石川県庁記者会見室)には三宅会長と平田副会長が登壇し、それぞれ開業医の立場や被災者の立場から、提言に託した思いを発言しました。

住民の「住み続ける権利」の保障を!

この提言は「住み続ける権利の保障」=「被災者・地域住民が、どこに、だれと住むか、どのように住むかを自己決定し、自分らしく生き、自己の願い・希望を実現することを人権として保障する」という視点から、県復興プランに対して9項目の提言を行ったものです。

< 石川県創造的復興プランに対する提言 > 

1 被災住民の復旧・復興への思いと「創造的復興リーディングプロジェクト」を中核に据えた復興プランの内容がかみあっておらず、プランの具体化においては被災住民の思い・願いに基づく「不断の」見直しを行うこと

2 復興プランの具体化にあたって、「創造的復興」の前にいまだ進まない「復旧」を重視すること

3 復興プランの見直し・具体化において、被災者・住民の「参加」を保障すること

4 被災者の復旧・復興を具体化する保障主体、住民の「住み続ける権利」の保障主体は、国・自治体である旨を明らかにして、今後の復旧・復興を進めること

5 インフラの整備に「集約化」など財政等による抑制的な条件をつけないこと

6 計画期間については、石川県成長戦略の目標年次(2032年度)までとなっているが、復興に必要な期間を限定することなく成長戦略とは切り離して復興プランを具体化すること

7 被災状況の分析が不十分であり、ただの事実の列挙ではない検証を今後しっかりと行うこと

8 志賀原発の事故について事実を明らかにしたうえで、廃炉に向けた道筋を示すこと

9 被災住民が能登で住み続けるために必要な社会保障施策(居住保障、医療保障、社会福祉施策の保障等)について、その復旧・復興の道筋をプランの中核に据え、具体的に提示すること

提言内容の理由については「石川県創造的復興プラン」に対する提言の2㌻以降をご参照ください。
記者発表会に臨む検討会議メンバー・賛同人。三宅会長(左端)、平田副会長(右から2番目)も登壇・発言しました。

記者発表会に会長・副会長も登壇

提言書手交後は記者発表会を行い、井上代表のほか研究者や医療・福祉の専門家ら5人の賛同人が参加し、復興プランや被災住民の現状について発言しました。

石川県保険医協会からは三宅靖会長や平田副会長も賛同人として登壇。石川県創造的復興プランの本体では医療について全く触れられていないことを受け、三宅会長は「地域医療を面的・重層的に支える開業医の役割は重要であり、民間医療機関の復旧にも力を尽くしてほしい」と述べ、災害時に対応するには普段から余裕を持った医療提供体制の構築が必要であることを強調しました。平田副会長からは、県復興プランに違和感を覚えた被災者の一人として「検討会議」に寄せる期待を語り、被災者の声を継続的に吸い上げる必要性、その声を基にした復旧・復興の実現を求めました。

検討会議は今後、上記提言への賛同者を増やし、さらに石川県への第2弾、第3弾の要望、被災自治体、そして国への要望にも取り組んでいく予定です。

マスコミ報道も多数

検討会議による提言提出や記者発表会の模様については、石川テレビ、北陸中日新聞、北陸放送、北國新聞、毎日新聞、読売新聞で報道されました。

北陸放送の報道(YouTube チャンネル【能登半島地震まとめ】27:03~28:30)